2005.10.06

小説・ロマンシングサガミンストレルソング~皇帝の華~レビュー

久々に小説のレビューをば。ネタバレ等は避けるように書きますのでご安心を。
著:妹尾ゆふ子、イラスト:小林智美、スクエニGAME NOVELSシリーズ最新刊小林智美氏の美麗な表紙が目印です。
もうとにかくね、まごうことなきロマサガです、コレは。キャラクターの個性がしっかりと描かれていて、かつ、ゲームの世界観を全く損なわない素晴らしい出来。正直、小説の良し悪しなんてよーわからん私ですが、それでも著者の方の力量は相当なモンなのではないか、と思いました。何だか久しぶりに、骨太な小説を読んだ気がします。
スクエニという巨木は、その自らの重みに耐えかねて、(私のようなレトロゲーマー的には)既に倒れ枯れ果てたと思っていましたが、なかなかどうして、若葉の芽吹きを感じさせるような、こんなに粋なはからいをしてくれるとは。正直、ちょっと見直しました。
何しろ、いくら嬉しい誤算wのセールスを叩き出したと言われるロマンシングサガ・ミンストレルソング(以下「ミンサガ」)の名前が冠されているとは言え、本書は完全なオリジナルですよ!?こういった企画を立ててくれる良識のある人がまだいるんだなあ、と、大変嬉しく思った次第であります。
確かこのGAME NOVELSというシリーズ、昔はエニックスから出版されていた覚えがあります。そして今回ロマサガをテーマにしてくれた、と。合併による恩恵を、初めて享受できた気がします。
さて、内容について少し。帯のアオリ文句にもあるように、本書はローザリアの始祖、ローザ=ライマン(オリジナルキャラ…だと思います)の半生を描いた作品です。
基本的に、ローザが仕える皇帝の視点で物語は進んで行くので、イメージとしてはミンサガというよりは、ロマサガ2を髣髴とさせる気もしました。
で。本書は、普通の読み切りファンタジーとしても充分な完成度だと思うのですが、やはりロマサガを知っている人間にとってはさらに面白いです。所々で出てくる、「命数が尽きる」「両手大剣」「幻体戦士術」などのキーワードに思わずニヤリとさせられます。また、時代はミンサガよりも遥か昔の話ですが、出てくる地名は馴染みのあるものばかり。運命石(デステニィストーン)も、重要な、そしてロマサガファン的に実に納得のいく使われ方をします。
SFC版ロマサガ1から、いやさ、魔界塔士Sa・Gaからシリーズ通してプレイしている私(注・Sa・Ga3とアンサガ除く)ですが、大満足でした。
ということで、ミンサガをプレイされた方は勿論、ロマサガシリーズに一度でも触れたことのある方には、大変オススメの一冊だと思います。
追記:そういや、サガフロ2もやってねえな…。2がどうこうというより、1でゲンメツしたんだよな、確かw。