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2007.03.27

春のうららのおすすめミステリ

(※当然ですが、以下の文章にネタバレは一切含まれません)
わずか20行足らずのプロローグを読んだ瞬間。この本は「当たり」だと、私の直感がささやきました。そしてその期待が裏切られることはなく、最後まで楽しませてくれた一冊、それが。
「天使が開けた密室」(著:谷原秋桜子・創元推理文庫)
えー、正直申し上げまして、そもそもの出会いは表紙買いでした。「うあ!?創元推理文庫で、何だこの10年前のコバルト文庫みてーな(※褒め言葉)表紙は!?けしからん、よし買おう」と手に取ったのがこちら、「砂の城の殺人」。で、よくよく見てみたらシリーズ3作目ってことなので、早速1、2作目を尼損で購入して、読み始めました。
どうやら本作は、もともと富士見ミステリー文庫で刊行されていたらしく、既に一部では話題になっていたようですな。当時からチェックしていた方々は凄え。では、まともなレビューは、先達にお任せするとして。以下、私なりの感想を述べさせていただきます。
まず、主人公は、やや引っ込み思案だけど芯の強いおにゃのこですいやっほう!さらに髪型は、「肩にかからない程度のワンレングス」と来たもんだ!!個人的にはもうこの時点で、「他に何か言うべきことはあんの?いや無いね!読もう」と締め括りたいところなのですが。あまり私の病理を疑われても困るので、もう少し具体的に行きます。
この物語には宇宙人も、未来人も、超能力者も、魔法も魔術も、吸血鬼も妖怪も、姉妹(スール)制度も触手モンスターも出てきません。あ!念のためお断りしておきますが、私はそれらが出てくる物語も大好きですよ?特に触手モンスターが好きです。
ただ、このところそういった作品に食傷気味なのも確かでして。例えるなら、油っこい料理と甘~いデザートとを食べた後でいただく、温かい緑茶のような。そんな落ち着いた、清々しい雰囲気をこの作品は持っていると感じました。
また、ミステリとしても、しっかりと成立していると思います。確かに、コアな謎解きマニアの方々にとっては物足りないかもしれませんが、私のように「謎解きは好きだけどあまりコダワらない」派には充分ですし、穏やかでリアルな描写の中で伏線が張られていくのが、ぴりぴりして心地良いです。
とにかく真っ直ぐに、純粋に。ごく当たり前の日常を丁寧に描いた、暖かく血の通った物語だと思いました。ショートケーキやバニラアイス、プレーンヨーグルトなど、「オーソドックスなものをいかに美味しく食べさせるか」ということに似ている気がしますが、「当たり前の日常を描く」ことって本当に難しいと思うんですよ。変に社会批判を入れたり、説教臭くなったりするケースって、多いと思うんで。
私の記憶にある限りで言えば、こんな優しいテイストのミステリ作品って、誰もが通る「赤川次郎」とか、割と最近だと「はやみねかおる」とか、そのくらいしか思いつかないですし、それなりに貴重ではないでしょうか。(他に良作をご存知の方、随時コメント受付中w!)
……とまあ、やや褒め過ぎなきらいもあるかもしれませんが、この爽やかさにはそれだけ鮮烈な印象を受けたということで!主人公と同年代の、若い方々には勿論オススメですが、一方で僕らのヲタヲタしい日常における一服の清涼剤としても、大変に価値のある一品でございます。
って言うか美波可愛いいいぃぃっ!!━(。A。)━(゚∀゚)━(。A。)━(゚∀゚)━(。A。)━
もうね、膝下スカートと、石鹸と、三つ折ソックスの香りのイメージですよ!間違えました。膝下スカートと、三つ折ソックスと、石鹸の香りのイメージです。よーし、2作目読も。